【アイラ島】アイラウイスキー8つの蒸留所の歴史と特徴「完全版」

ラフロイグ

本記事では、アイラウイスキー8つの蒸留所の歴史と特徴についてまとめています。

島の南部には、下記4つの蒸留所があります。

  • ラフロイグ
  • アードベック
  • ラガヴーリン
  • カリラ

島の北部には、下記4つの蒸留所があります。

  • ボウモア
  • ブルックラディ
  • ブナハーブン
  • キルホーマン
もくじ

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【アイラ島】アイラウイスキー8つの蒸留所の歴史と特徴「完全版」

ウイスキーとは「歴史を飲む」飲み物

ウイスキーとは?

樽(たる)で長期熟成させ、その後に瓶詰(びんづめ)されて市場に出回るようになります。

たとえば、10年・12年・18年、モノによっては50年熟成させているモノもあります。
50年を人間の人生に例えると、誕生してから仕事の定年が近づいている頃まで「樽の中」にいるという計算になります。

ウイスキーには職人の愛情が込められています。
50年ものあいだ、職人の手によって管理されています。
50年と言うことは、職人もかなりの年齢になっていることは想像がつきますね。
その職人の考えや歴史に想いを馳(は)せて飲むウイスキーは格別です。

なぜ、ウイスキーは茶色なの?

ウイスキーは、樽で長期熟成させますが、
樽には、タンニンという成分があります。

ウイスキーを長期熟成させることによって、
タンニンがじわじわとウイスキーに浸透し、
それが長期であればあるほど、ウイスキーが茶色に色付いていく仕組みです。

※もともとウイスキーは蒸留ポッドで生成され、じつはその直後のウイスキーは透明です。
それを樽で熟成させることで茶色になるということです。

蒸留所とは?

ウイスキーをつくる工場のような場所です。
蒸留所によってウイスキーをつくる工程は様々です。

つくられる国によっても、少し材料に違いがあります。
また、職人の考えによっても、ウイスキーの味わいは大きく変わります。

このような背景から、
ウイスキーはどれも個性的であり、好みが分かれるので小さな蒸留所が数多く存在するのです。

★ウイスキーに競合という概念はほとんどありません。

ウイスキーの聖地「スコットランド・アイラ島」ってどんなところ?

島

アイラ島は、スコットランドの島です。

インナー・ヘブリディーズ諸島の南端に位置しており、
「ヘブリディーズ諸島の女王」と呼ばれています。

アイラ島では、「モルトウイスキー」の蒸留と観光が主な産業となっています。

アイラ島でつくれるウイスキーは、
「アイラ・モルト」として知られ、
泥炭(ピート)によるスモーキーさが特徴です。

ピート(泥炭)とは?

ピート(泥炭)というのは、
太古の植物などが堆積して化石化したものです。

燃えやすいので、アイラ島の島民は、
よくピートを燃料代わりにします。
(※燃やすと独特の香りがします)

よく言われるのが、正露丸のような匂い、
或いは病院の薬品のような匂いです。

ウイスキーの原料はモルト(麦芽)で、
火を焚いてこの麦芽を燻る過程がありますが、
このピートを燃やすことで、モルトに独特の香り付けをします。

そうすることで、ウイスキーを飲むときに独特の香りや味が出てきます。

アイラ島にある8つの蒸留所の歴史と特徴

島の南部(強いピートの香りのウイスキーが製造される)

  • ラフロイグ
  • アードベック
  • ラガヴーリン
  • カリラ

ラフロイグ

ラフロイグ
ラフロイグ

ラフロイグの特徴について、詳しくまとめています。

 アイラウイスキーのなかで、
個人的に一番好きなウイスキーです。

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アードベック

アードベック
アードベック

1815年創業(ラフロイグ蒸留所と同じ年)

アードベッグの創業は古いですが、
何度か稼働を止めていたことのある蒸留所です。

そのため、一時は出荷不安定なウイスキー銘柄として認識されていました。

(※ラフロイグは、アードベッグと同年に創業したウイスキーですが、王室ご用達に選定さてるなど、華の舞台に立ってきたウイスキーです)

アードベックの特徴

アードベッグも独特のスモーキーさでは、
他社のアイラウイスキーに負けていません。

アードベッグを蒸留する時の仕込み水は、
アイラ島北部に位置する湖から引いています。

そして、その水を引くときに流れる地層の大半がピート(泥炭)でできており、その地層を通ってきているので、水そのものにもピート香がついています。(ピート香が付いた状態で仕込み水として使います)

水にもピート香があり、
モルト(麦芽)にもピートを焚いて麦芽を燻しているので、
水とモルトの両方にピート香がついた状態で蒸留しています。

そのため、より強いピート香が感じられます。

アイラウイスキーのなかでは、圧倒的に強いピート香です。

アードベッグは一般的に10年熟成です。

ウイスキーメーカーによって「最低熟成期間」は異なりますが、
だいたい10年、12年、15年あたりが多い印象です。(アードベッグは最低10年)

アードベックの味わい

ピート香がブワーっと広がり、
しばらく余韻が残り続け、なかなか消えません。

強烈なピート香が好きな方にはオススメのウイスキーです。
同時に、スモーク系の食べ物と一緒に飲むと、さらに美味しいです。

アードベッグもスモーキーな一面があるので、
飲み物と食べ物のダブルスモーキーで相性抜群です。

注意

アードベッグの匂いはなかなか消えないので、
相手にその匂いが届いてしまう可能性があります。
場合によっては、嫌がる人もいるかも。。。

この一本が、あなたをアイラウイスキーの魅力の世界に引き込むかもしれません。

ラガヴーリン

ウイスキー

1816年創業

世界的に見ても、
激動の歴史の中で誕生した蒸留所の1つです。

この辺りの年は、フランス革命が終わり、
ヨーロッパ戦争などで荒廃(こうはい)し、
疲弊(ひへい)している時代です。
(このような状況下で誕生しています。)

ヨーロッパの中で、当時唯一の島国であったイギリスで、
この激動の時代をものともせずに創業した蒸留所です。

ラガヴーリンの特徴とホワイトホース

ラガヴーリン蒸留所は、
アイラ島の南部に位置しており、
海の香と力強いピート香がします。

激動の歴史をものともしなかった力強さは、
他のウイスキーにも影響を与えています。

たとえば、

ホワイトホースというブレンデッドスコッチウイスキーです。

このウイスキーは、さまざまなシングルモルトウイスキーをブレンドして作られたウイスキーです。

例えるなら、ブレンドコーヒーのようなものです。

このホワイトホースというウイスキーの核となるものが、
実は「ラガヴーリン」というアイラウイスキーなのです。

ラガヴーリンも、ヨード香や正露丸のような香が特徴的です。

しかし、

ホワイトホースはブレンデッドウイスキーなので、
さまざまなウイスキーを混ぜながら、
その核となるラガヴーリンの特徴をそこまで強く感じないので、
とても飲みやすいウイスキーです。
※居酒屋などで、ホワイトホースを取り扱っているところもあります。

ラガヴーリン蒸留所は、
一時期ホワイトホースの創業者が経営していた時期もあり、
その関係でホワイトホースのブレンドの中心をラブガーリンにしたという話もあります。

ホワイトホースはブレンドされたウイスキーなので、
基本的に飲みやすさを追求しています。

私の感想ですが、ラガヴーリンは強烈な味わいで、
ホワイトホースはそれに対比する味わいです。

ホワイトホースの創業者は、
ラガヴーリンを中心にブレンデッドウイスキーを作りたいと考え、
試行錯誤の末にアイラウイスキー独特のヨード香をあまり感じさせない仕上がりにしたと感じます。

実際に、値段も手ごろでハイボールなどで飲んでも美味しく、
全体的にまろやかに感じます。

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カリラ

樽

1849年創業

カリラは、もともと単体で飲むウイスキーというよりも、
ブレンデッドウイスキーマスターブレンダーが様々な蒸留所から集めてきたウイスキーを掛け合わせて作ったもの)に混ぜるために使われていました。

そのため、カリラはひとつのウイスキーを作るうえでの材料でした。

マスターブレンダー=ウイスキーの味を決める人

しかし近年、これらのウイスキーも注目されており、
ブレンデッドウイスキーに混ぜるだけの飲み物ではなく
「単体で販売してみてはどうか?」という提案があり、商品化されました。

その結果、アイラウイスキーの中でも、
人気ウイスキーのひとつとなりました。

余談

ワインで言うところの「ガメイ」というブドウに近いところがあります。

ガメイは安価で、ワイン醸造家がブドウをつくり、
その年のワインの味を知るために作っていましたが、
「廃棄にするのはもったいない」という意見がでたことから、
商品化したものが「ボジョレーヌーボー」です。

ボジョレーヌーボーを飲めば、
その年に出来上がったワインの状態の予測がたつと言われています。

つまり、「ボジョレーヌーボー」を飲んで美味しければ、
その年のワインは美味しく、美味しくなければ、
その年のワインはいまひとつということになります。
(すべてのワインに当てはまるわけではないです)

この現象は、カリラにも似たようなところがあります。

カリラも以前は、「ガメイ」と同じように、
単品売りをしていませんでした。

 ヌーボー=フランス語で「新しい」という意味です

カリラの特徴

カリラは12年熟成させたものが一般的です。

熟成期間は12年だとしても、
他のアイラウイスキーの12年と比較すると、
「何か」が違います。

パズルで言うところの「完成品」ではなく、
「ピース」がひとつ欠けた状態です。

カリラは、いろいろなウイスキーを混ぜて完成させるために長年使われてきました。
そういう意味で「ピース」なのです。

カリラの歴史を考えると、「完成品」ではなく、
あえての「不完全品」というのが魅力のひとつでもあります。

「飲み手側」によって変わる

カリラは「完成品の一歩手前の状態」だと考えると、
飲み手側がピースを足せば完成します。

ピースとは「飲むスタイル」です。

ウイスキーは主に「ストレート」・「ロック」
「トワイスアップ」・「水割り」・「ハイボール」
などの飲み方があります。

最後のピースを埋めるのは、
あなたであり「飲み方をどうするか?」
「どこで飲むか?」によってピースが埋まります。

カリラの味わい

アイラウイスキーなのでスモーキーですが、
もともとブレンデッドウイスキーに長年使われていた影響なのか、
フィニッシュ(飲んだ後)もしばらく余韻が残ります。

持続効果は無くスッと喉からピート(泥炭)が消えていくイメージです。

正露丸のような味だったり、
病院の薬品のような味わいだったりと、独特な味です。

アイラウイスキーのなかでも、カリラは独特なので、
ウイスキー初心者の方にはあまりオススメしません。

※現地ではよく生牡蠣にアイラウイスキーをかけて食べるという風習があります。

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島の北部

  • ボウモア
  • ブルックラディ(ノンピート)
  • ブナハーブン(ノンピート)
  • キルホーマン

ボウモア

ボウモア

1779年創業(アイラ島最古)
※ボウモア蒸留所は、アイラ島の8つの蒸留所の中で、最古の蒸留所です。

1779年創業(当時の年代に近い出来事)

  • アメリカではアメリカ独立戦争
  • フランスではフランス革命
  • イギリスでは産業革命

※世界は転換期を迎えていた時代(世界が大きく変化している状況でボウモア蒸留所が完成)

私の気持ち

このような歴史を知ったとき、とても感動しました。
当時の歴史を振り返ると、
決して楽ではない時代だったと思います。

世界で戦争や革命がおこっている中で、
蒸留所を「起業」したのは、とてもすごいことです。

そんなボウモア蒸留所が今もなお健在しているということは、
確固たる強い意志と、創業者の熱い信念が伝わってきます。

ボウモアの特徴

  • 商品のラインナップが多い
  • 一般的な熟成年数は12

※最近は、専門の酒屋だけでなく、
一般のスーパーでも見かけるようになってきています

ボウモア12年を飲んだ感想

最初の一口目は「ブワー」っと
ピート(泥炭)の香りが口の中で広がり、
しばらくは口の中に残ります。

飲んだ後は、口の中や喉のあたりに、
ピート感はあまり残りません。

アイラウイスキーは数多く蒸留所が存在しますが、
この「ボウモア」というウイスキーは、
アイラウイスキー初心者が試すのに、最も適しています。

基本的に、アイラウイスキーは癖が強く、
一般的には「飲みにくいウイスキー」とされています。

しかし、この癖が病みつきになり、
アイラウイスキーにハマっていきます。

 ボウモアは最古の蒸留所だけあって、
当時の時代背景や創業当時の人々の思いを考えると、
感慨深いです。

また、ウイスキーの技術力をとても感じます。

ブルイックラディー(ノンピート)

樽

1881年創業

ブルイックラディー蒸留所は、
アイラウイスキーのなかでも独特です。

アイラウイスキーといえば、
スモーキー・ピートなど、独特のクセが特徴的です。

しかし、ブルイックラディーはスモーキーさやピート香はあるものの、口の中に含ませた後のフィニッシュ感にバニラ香のような少しフルーティーさを感じます。

しっかりとした甘い芳香と味を感じることができます。

はじめてアイラウイスキーを飲まれる方にはオススメです。
他者のアイラウイスキーと違って、
強烈なピート香やヨウド香はそこまで強くないため、
比較的飲みやすいです。

ブルイックラディーの特徴

ブルイックラディーは、
ラインナップを数多く取り揃えています。

その中でも個人的に好きなのは、
「ブルイックラディークラシック」という
青いボトルが印象的なものです。
※多くの酒屋で販売されています。

ブルイックラディー蒸留所は、
過去に閉鎖していた期間があります。

理由は諸説ありますが、
時代的な背景や蒸留所のオーナーが変わるなど、
諸事情があったのでしょう。

ただ、アイラウイスキーのファンにとっては、
再稼働して出てきたウイスキーほど
待ち遠しいものはないのではないでしょうか?

ブルイックラディーの味わい

最初はとても力強くピート香が感じられガツンときますが、
そのあとは甘い芳香のやわらかい味わいがあります。

このギャップに魅力を感じる人も多いと思います。
力強いパワーとやわらかい愛を感じます。

例えるなら、「アメとムチ」です。

ブナハーブン(ノンピート)

ウイスキー

1881年創業(アイラウイスキーの中でも比較的新しい蒸留所)
※新しいといっても、創業から1世紀以上たっています

ブナハーブンの特徴

他のアイラウイスキーと比べて、
アイラの特徴でもあるピート香やヨード香などが少ないです。
そのため、
アイラウイスキー初心者でも
比較的飲みやすいウイスキーと言えます。

ピート香やヨード香を抑制している代わりに、
蒸留所が海に近いせいか、
海の磯の香や潮の香をより含ませているように感じます。

余談

私も今やピート香の愛好家となってしまったので、
ブナハーブンよりも他のピート香が強いアイラウイスキーを好みます。

しかし、これは現在の話です。

昔は、アイラウイスキーの中でも、
比較的ピート香が弱いとされる、
「ブナハーブン」や「ブルイックラディー」を飲んでいました。

そして、ピート香に魅力を感じ、
気が付いた時にはピート香の強いラフロイグに行きつきました。

ブナハーブンの味わい

少量のピート香や海の香りだけではなく、
少しバニラ香やナッツ香もします。

「ピート香を味わいながら、甘さも少し求めたい」
という人には、ぜひオススメしたいウイスキーです。

一口飲むと、ピート香と海の磯の香、
そしてブワーっと広がるバニラやナッツの香などが口いっぱいに広がります。

ピート香やヨード香が強いアイラウイスキーの入門として、
ぜひブナハーブンから手に取ってみてください。

「Welcome to Islay Whisky World!」
「ようこそ、アイラウイスキーの世界へ!」

ブナハーブン エリーナ グレーネ 並行品 46.3度 1000ml

キルホーマン

自然

創業2005年(アイラウイスキーの蒸留所の中では、かなり若い)

アイラ島にある蒸留所の中でも、規模は小さいです。

また、アイラ島に124年ぶりにできた蒸留所でもあります。

キルホーマン

近年まで、アイラ島で1番若い蒸留所でした。
また、アイラ島ではじめて全工程を自社で行える
「100%アイラ島産」を可能とした蒸留所です。

 しかし、

  • 2015年にガートブレック蒸留所が設立
  • 2018年にはアードナッホー蒸留所が設立
    しています。

ウイスキーの違う一面

ウイスキー

ウイスキー単体でも美味しいですが、
あえて何かを混ぜることで、
カクテルにすることもできます。

たとえば、
ウイスキーが苦手な人がウイスキーベースのカクテルを飲むと、
途端に飲めるようになってしまうことがあります。

ウイスキーとは、「歴史を飲む」モノですが、
その重厚感ある飲み物にカクテルという飾りつけをするイメージです。

味わいはもちろん変わりますが、
風味や飲み手の感覚も180度変わります。

ウイスキーが苦手な方は、ぜひ試してほしいと思います。

※お酒は20歳を超えてから飲みましょう。

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